幌内炭鉱跡地

冒険

 旧北炭幌内変電所の続きです。

 鬱蒼と生い茂る木々の隙間から、数々の遺構が存在を主張してきます。

 ここは三笠ジオパークのエリアの1つに指定されています。

よく整備された公園の入口のように見えるが、人の気配はしない。
入口脇には人数を記録するカウンターがあった。

 入口に立った時には、辺りはもう薄暗くなり始めていました。時刻は18時20分頃です。

 これでもかと羽虫が集って来ます。ほとんどはアブです。一際大きな羽音で威嚇してくるのはハチです。じっとしてるとアブに体液を吸われますし、唐突な動きをするとハチに刺されるリスクが高まります。

 虫除けスプレーの準備もなければ、格好は半袖のTシャツでした。引き返すのが賢明な判断のはずです。

 しかし、その先に何があるのか。それを見てみたい誘惑には勝てませんでした。

遊歩道の左側に最初の遺構があった。ここまで損傷が激しいと、私はあまり魅力を感じない。
炭鉱内で使う安全灯を管理するために、大正から昭和初期頃に建てられた安全灯庫。

 気を付けなくてはならないのは、アブとハチだけではありませんでした。

 非常に危険な痕跡を見つけてしまいました。熊の爪痕です生々しく遊歩道に刻まれていました。

 細心の注意を払いながら探索を続けました。

爪痕がずっと続いている。熊にとっても遊歩道は歩きやすいのだろうか。
炭鉱の入口は閉ざされている。流れている出水が赤錆の混ざったような色をしている。
幌内神社とは別の小さな神社があった。神社の右側にはベルトー斜坑本卸、左側にはベルトー斜坑副卸と書かれた坑道入口がある。近代化以降にベルトコンベアーで石炭を搬出していた形跡である。

 炭鉱周辺には、美しい緑に覆われた遺構がいくつもありました。

 何に使われていた建物なのかは、その外観からはもう分かりません。

屋根までツタに覆われている。
花と木とツタに彩られ、美しさすら感じる。
一際高い建造物。丈夫な骨組みだけが残っている。

 遺構の中に誘うかのように小道が出来ていました。

 中に入ってみると、戦争映画のセットのような光景が広がっていました。静寂と冷気に包まれています。あれだけ集って来た虫が一匹もいなくなりました。

異世界へと繋がっているのではないかと感じた。
まるで戦争映画のセットのようだ。
足元に転がるこの冷蔵庫は、遺構だろうか、不法投棄だろうか。いずれにせよ、すっかりと景色に馴染んでいる。
別のアングル。虫が好まない空間らしい。

 羽虫との戦い、そして熊への警戒心と、夕暮れが告げる暗闇までのタイムリミットが歩みを早めます。

 建物以外にも、そこかしこに炭鉱の痕跡が残っていましたが、じっくりとみる時間はありませんでした。

よく見なければ見逃してしまうような遺構もたくさんあった。
梯子が落ちているのも味が出ている。

 三笠ジオパークとして管理されているはずの場所なのですが、まるで人間の侵入を拒むかのように、大自然が遺構を覆い隠していました。

 人間はあくまでも少しの間、大自然から場所を間借りしているだけだと、そう感じました。

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次の旅は「稚内はどんなところ?」についてです。

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