<ぼくのなつやすみ>真夏の北海道 知床

冒険

冬がやって来ました。

旭川では、2020年11月8日頃から雪が降り続け、11月10日には雪化粧の街並みが出来上がりました。

「色の白いは七難隠す」と言いますが、中途半端な季節の雪では「降る白いは七難示す」です。

「寒い・汚れる・萎える・楽じゃない・泣ける・辛い・余裕がない」の七難で頭文字を繋げて「さよならなつよ」と嘆くのです。

ラム太郎
ラム太郎

ああ、夏が恋しい。

そんな私、ラム肉食べ太郎は、2020年7月28日に訪れた日本の最北道東にある半島、知床(しれとこ)の真夏の思い出へと浸る事にしました。

旭川から東に280kmもの距離、車を走らせ続けたその地の果てに知床はあります。

ちなみに知床はアイヌ語でまさに「知の果て」を意味するのです。

ラム太郎
ラム太郎

知床の夏は暑いか〜?

オシンコシンの滝

知床を間近に最初に感じたのは、「日本の滝100選」に選ばれたオシンコシンの滝でした。

圧巻の水量が降り注ぐ大自然の号泣を前にして感じたひとつの感情は「寒い」でした。

細かい水しぶきがカメラを構える私に地味な嫌がらせを続けて来たのです。

午前8時とは言え、日差しは強く気温も高い日でしたが、滝の側には確かな冷気が漂っていました。

濡れるのは同じでも、その効果はディ○ニーランドとかにある、熱中症対策のショボいミストクーラーとは違いました。

オシンコシンの滝。アイヌ語で「そこにエゾマツの群生するところ」と言う意味である。

オシンコシンの滝から見たオホーツク海側の景色。

知床に面する町 斜里町

知床の西側は斜里町。東側は羅臼町である。

最果ての斜里の町はオホーツク海と知床の山々に挟まれ、いくつもの巨大な岩の間を縫うように展開された小さな町でした。

町全体を見渡せる巨大な岩、オロンコ岩からの景色を紹介しましょう。

急傾斜の長い階段を登ると、そこは天然の展望台「オロンコ岩」であった。

港に知床観光船公式)が停泊しているのが見えました。

世界自然遺産でもある知床半島は、車で横断することは出来るものの、それ以外のほとんどの場所は正真正銘の未踏の地であり、通常では立ち入ることは出来ません。

しかし知床観光船であれば、人間の手が介在しないその神秘の世界へと海から僅かながらもアプローチすることが出来るのです。

Bitly

美しい港に停泊する「知床観光船」。

海鳥もまた知床の大自然の住民なのである。

オホーツク海の恵の豊さは漁業を見れば明らかです。

斜里町ではサケマス定置網漁業を中心とし、隣町の羅臼町と合わせた漁獲量は全道の7%を占めているのです。

漁港では防波堤の建設が進められています。

広大な大自然を間借りする暮らしである。

知床の高台には絶景を売りにしたホテル郡が顔を覗かせているのが見えます。

その他にも道の駅や飲食店、民家などが立ち並んでいます。

オロンコ岩の道と、斜里の町並み。

知床町の名物のひとつにゴジラ岩と言うものがあります。

中心の岩をよく見て下さい。

確かにゴジラのように見えませんか?

でも確かゴジラは「放射能の影響で生まれた生き物」であると認識していますので、この雄大な大自然の中にいるのは何とも皮肉のように思えます。

「この大自然を大切にしろよ?」と分かりやすく戒めているのでしょうか。

Bitly
Bitly

写真中央が「ゴジラ岩」である。

カムイワッカ湯の滝

カムイワッカ湯の滝は、期間限定ながらも車で立ち入れる知床の最奥部です。

2020年では6月1日〜10月30日までの期間で開通していました。

斜里町にある「ユートピア知床道の駅うとろ」から24kmの距離です。

途中から荒い砂利道が始まります。

ここには熊や鹿が頻繁に現れるとの事です。

「カムイワッカ湯の滝」へと続き砂利道と、知床の樹木。

駐車場に車を停めると、目の前にはカムイワッカ川が流れています。

この川には魚が生息していません。

何故なら、流れているのは水温30度程度の硫黄成分を含む強酸性の温泉だからです。

この右下付近が駐車場になっている。

熊が通る獣道と見られる場所。踏み固められて下草が生えなくなったのである。

カムイワッカ川。強酸性の温泉が流れている。

この川の中を歩いて「カムイワッカ湯の滝」へと向かいます(公式)。

靴を脱いで「知床自然センター」で購入した滑り止めの付いた靴下「すべらん靴下」を履いて川に入ります(タオル付きで1,080円)。

ラム太郎
ラム太郎

お湯が靴下に染み込んで来て温かいです!

早速奥に見えるのが「一の滝」です。

巨大な岩は落石である。

入浴するのに十分な程に深い窪みが所々にある。

傾斜のある「一の滝」を登って行く。

散策しながらゆっくり歩いて10分程で通行止めとなりました。

「この先上流側で落石が発生しており、今後も落石の恐れがあるため、これより先への立ち入りは厳禁です。絶対に登らないようお願いします。」と注意書きがありました。

この先には「二の滝」「三の滝」「四の滝」と続き、登る程に温泉の温度も高くなって行くとの事です。

知床が世界遺産に登録された2005年までは「四の滝」まで自由に登って行くことが出来たのですが、落石の影響で今は「一の滝」までしか立ち入ることが出来ないのです。

世界遺産であるが故に重機を入れる事が出来ないと言う事情もあり、この先も開通する予定は無いそうです。

北海道の各所に落石や老朽化なので、立ち入れなくなってしまった場所が多々あります。

人間の寿命から見れば、遥かに穏やかに流れる大自然の時間軸の中でも、変化は確実に起こり続けているのです。

「立ち入り禁止」の注意書き。

来た川の道を引き返します。

登る時よりも急勾配に感じる「一の滝」を滑らないように気を付けて降ります。

滝壺に向かって温泉が流れ込む「一の滝」

滑る足元には細心の注意を払う必要がある。

ただ温泉が流れているだけのように見えるカムイワッカ川ですが、よく見ると様々な発見があります。

写真右下に小さな窪みがあるのが分かると思いますが、これは小さな滝壺です。

遠い未来に、水圧で削られ続けたこれらのような小さな窪みが、立派な滝壺となるのです。

膨大な時間の流れは小さな窪み(右下)もいつかは大きな滝壺(左)へと変化させる。

川底を良く見ると白い線が走っているのが分かると思いますが、これはシリコンシーラントで水漏れを塞いだ跡…ではなく硫黄鉱脈です。

すぐ近くには硫黄鉱山施設遺構が残っており、昔は火薬用に硫黄を採掘していました。

Bitly

硫黄鉱脈が走る川底。

強酸性(pH1.6〜1.8)のカムイワッカ川ですが、その川辺には豊かな生態系が見られます。

川の中には嫌気性の微生物もいるでしょうし、川縁には苔類も生息しています。木々の合間には野生の大麻が自生したりもしているのです(持ち帰ったら逮捕されます)。

川縁の苔類。硫黄成分の影響はないのだろうか。

川辺の植物。下草はシダ類や野生の大麻など。

散策コースの終点です。

この右側から出入りします。

右側から出入りする。見える道路がカムイワッカ川へと繋がる唯一の道路である。

カムイワッカ川はこのまま流れが続き、やがて「カムイワッカの滝」として海に直接降り注ぎます。

海の成分と化学反応を起こして、海の色を黄色に染めているそうです。

その様子は冒頭で紹介した「知床観光船」から見る事が出来るそうです。

知床国立公園 知床峠園地

オホーツク海側の斜里町と、根室海峡側の羅臼町を結ぶ国道1334号は知床を横断するように繋がっています。

その中間地点にある休憩地点の知床峠園地からは、知床の秘境がどこまでも拡がっているのが見渡せます。

北方領土について記してある。

前方の山は「羅臼岳」である。

未踏の地、そしてヒグマやエゾシカの楽園が拡がっている。

ラム太郎
ラム太郎

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