2020年6月3日、私ラム肉食べ太郎は苫前町を訪れました。よく晴れた暑い日でした。
今回の目的地は三毛別ヒグマ事件復元地です。自然豊かな三毛別川流域の、ベアーロードと名付けられた、どこにも抜けられない17Km程の道をひたすら進んだ先、終着地にそれはあります。
道中では、よく懐いた、まるで飼い犬のようなキタキツネが私を出迎えてくれました。キタキツネは、ラム肉食べ太郎のトレードマークでもありますが、北海道では非常に良く見掛けます。
車を前にすると、食べ物を貰えることを期待して姿を表すのです。あまりの可愛さに無条件で求めに応じたくなります。しかし、野生の生き物に人間の食べ物を与えることは、肥満や虫歯など、思いもよらぬ副作用をもたらします。また、道路で食べ物を貰うことに慣れてしまった野生動物が、しばしば道路を過り、車に轢かれてしまうことがあります。
そして、迂闊に触れてしまうと、エキノコックスと言う寄生虫に感染してしまうリスクがあります。どれだけ可愛くても、身近な存在であっても、人間と野生動物は相容れぬ存在なのです。愛おしく思うからこそ、そっと距離を置いて見守るだけに留めておきましょう。
ベアーロードの終わりには、ひとつの看板が立っていました。「三渓熊事件 現地まで約200m」アスファルトの道は途切れ、その先は砂利道が続きます。
さて、このブログのタイトルにもあるように、地名は「三毛別」(さんけべつ)なのですが、この看板には「三渓」(さんけい)と書いてあることに気付いたでしょうか。「三毛別」は昔の住所で、正確には「北海道苫前郡苫前村三毛別六線沢」と言う場所でした。現在の住所は「北海道苫前郡苫前町字三渓」となっています。とは言え看板の見た目からは、現在が「三毛別」で昔が「三渓」だと錯覚してしまいそうです。
いよいよ目的地に到着しました。三毛別ヒグマ事件復元地です。こじんまりとしていますが、無料で開放されているのにも関わらず、とても綺麗に手入れされていました。
私以外、誰もいませんでした。虫の鳴き声が一面に響き渡っています。暑い日でしたが、105年前にこの場所を襲った、巨大なヒグマに対する意識のせいか、この場所の空気は張り詰めているように感じました。冷たい汗が背を伝って落ちるのを感じました。
大正4年12月に冬眠に失敗し、空腹故に凶暴化した巨大なヒグマが、村を連日で襲い、何人もの村人が食い殺されたと言う痛ましい事件が起こりました。ここはその事件の復元地なのです。またこの事件は、吉村昭の小説「熊嵐」などの舞台ともなっています。
復元された当時の民家と、その民家をいとも簡単に吹き飛ばしてしまいそうな、巨大な熊の像が立っていました。調べてみたところ、決して大袈裟なサイズではなく、当時この村を襲った熊は、体重が340kg、身の丈が2.7mもあったそうです。
飢えて凶暴化した、こんな巨大な熊が襲って来たらひとたまりもありません。猟銃でも簡単には倒せず、村は甚大な被害を受けてしまったのです。
当時を再現した民家は、質素ながら非常に丁寧な作りであると感じました。家の中は、地面の部分と、高くなった木の床の部分に分かれていました。地面の部分には、囲炉裏が置かれ、火がちょうど良く当たるようにヤカンが吊り下げられていました。また、薪や瓶が置かれ、壁には農具などの土が付くような道具が立て掛けられていまし。
高くなった木の床の部分は清潔で、天井にはランプが掛り、端にはタンスが置かれていました。恐らく冬でも暖かく眠れるような工夫がされているのでしょう。
天井は、見上げて見ると思ったよりも高く、丈夫な骨組みに支えられていました。梯子の先にはロフト…があるわけではなく、ただ梁に立て掛けられていました。想像するに、ランプを操作したり、天井の修復をする時などに用いたのではないでしょうか。
写真には写していませんが、他には、訪問ノートや展示パネル等が置いてありました。より詳細を知りたい人は、苫前町郷土資料館(公式)を訪れるようにとお勧めしてありました。私はコロナウイルスの拡散防止の観点から、訪れることを断念しましたが、調べる限りとても面白そうな場所でした。
復元された民家の外についてです。巨大な熊の像と対照的な、小さくて可愛らしい子熊の像も置いてありました。しかし、その下の看板に書かれていた文章は全く可愛くありません。「この付近でヒグマの目撃情報が寄せられております。見学される方は、十分注意されるようお願いします。」そうです。今でも出るのです。何しろここは深い森の中ですから。
脅威はヒグマだけではないようです。「ハチに注意!苫前町」そうです。人間にとっては危険が一杯です。何しろここは大自然の最中ですから。
「あんない図」によると、橋を渡った先の左の木にはヒグマの引っ掻き傷があるようです。このブログを書いてる時に気付いたため、見そびれてしまいました。訪れる予定のある方は、是非私の代わりに確認して来て下さい。
奥に見える穴は「くまの穴」、そして右に抜ける道は「くまの足跡」と案内されていました。ここにも何か物語があるもかも知れません。
独特の雰囲気もあり、非常に想像力を掻き立てられる場所でした。どこで何が起こったのか。それを知ろうと思う時は、このように丁寧に復元、あるいは保存された場所を訪れることが、きっかけとなることが良くあります。有意義なひと時を過ごせました。
Youtubeに動画も投稿していますので、観て頂けたら嬉しいです。
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