2019年7月19日に公開された映画「天気の子」が、遂に2020年5月27日にDVD・Blu-rayで販売と同時にレンタルも開始されました。
正直に言うと、前作の「君の名は」が公開された当初、宣伝を見た私は某宗教団体のプロパガンダ映画だと思っていました。そのせいもあって、世間の盛り上がりと裏腹に、レンタルが開始されてだいぶ時間が経つまで「君の名は」を観ることはありませんでした。
一方、「天気の子」については、話題に着いて行きたい一心で、公開当初に映画館で観て来ました。それから1年が過ぎ、再び梅雨の時期がやって来た今、改めて「天気の子」を観て考察したことについて書きたいと思います。
ちなみに、Blu-rayのコレクターズ・エディション(5枚組)には、映画撮影の裏舞台について、制作スタッフ等の口から詳細に語られているとのことです。この記事の内容は、そう言った事実関係を一切確認せず、あくまでも私ラム肉食べ太郎、個人の視点で考察した内容です。
ですので、あくまでも「こんな視点もあるんだな」と、広い心で記事を読んで頂きたいと思っています。※以下、ネタバレを含みます。
ストーリー
若気の至りで離島を飛び出した、高校1年生の少年穂高は東京に降り立つ。無計画で無鉄砲な日々に所持金が尽き、東京の冷たい雨に打たれ、トラブルに巻き込まれながらも、天気を操る不思議な少女陽菜や、怪しげなオカルト雑誌ライターの須賀との出会いを通じて、自分の居場所を見付けて行く。それからストーリーはあらぬ方向に展開して行く。
視点
この映画の視点は、主人公穂高の一人称であると感じました。周りの登場人物の心象を描いたシーンも当然あるのですが、所詮他人の本当の心は分からないものです。あくまでも穂高の視点から見ているから、周りの大人の行動が時には理不尽だったり、都合が良かったりもするのです。ヒロインの陽菜のことだって、どんなに想っていても所詮は他人で、出会ってから間もないのです。穂高から見た陽菜は、実は彼女が心の中でどれだけ悩んだり苦しんだりしていても、優しくて天使のような女の子なのです。
だから一見、穂高は独り善がりで支離滅裂な主人公に見えますが、多感な時期の少年穂高の世界の見え方と頭の中を表していると考えれば、それも当然のことなのです。一方で、ヒロイン陽菜が相対的に大人っぽくて、世の中に恨み言のひとつも言わない優しい少女で、言い換えれば特徴の薄い描写であるのも、あくまでも穂高の視点なのだと考えれば納得できます。案外重要な登場人物であるはずの弟、凪がただの盛り上げ要員に見えるのも納得できます。周りの大人についても同様です。
しかし、この映画にはもうひとつの情報があります。音楽です。重要なシーンには必ず歌詞付きの音楽が流れます。この歌詞の内容に、主人公穂高だけではなく、ヒロイン陽菜の気持ちや思い、情景をもが込められていると感じました。曲単体としても本当に名曲ばかりだと思いました。私はその歌詞の意味を噛み締めてから、改めてこの映画を観て、本当は感情豊かで愛情深い彩りのある映画であると感じたのです。
拳銃について
ストーリーのキーとなるアイテムは「雨」だけではありません。そのひとつが「拳銃」です。このようなストーリー構成の中に拳銃が出て来るだけで、嫌悪感やチープさなど、ネガティブな印象を残してしまうように感じました。しかし、コントロール仕切れない暴力や、抗えない世間の理不尽さに対する比喩だと解釈したら、私は納得できました。
ひとりの少女が背負った切ない運命。そして未成年の彼らの社会での無力さ。無理解な周りの大人達の妨害。まさに「拳銃」を通して感じるかも知れない、嫌悪感やチープさなどのネガティブな印象は、この時の少年穂高が世間に感じていた感情なのだと捉えることができたのです。
まとめ
この映画を作成した新海誠監督は、「天気の子」を含めて5作品を世に送り出しています。美しい映像と、音楽の使い方が巧みで、作品を追う毎に洗礼され、今では日本のアニメ業界を代表する1人であると言っても過言ではありません。
恐らく今後も新たな作品を世に送り出し続けることでしょう。まだ観たことがない人も、観たことがある人も、このブログを読んで観たいと思って頂ければ幸いです。