【日本一過酷で危険】参拝難易度MAXの神社「太田山神社」を紹介する

冒険

随分と間が空いてしまいましたが、GWを利用した「道南海岸沿い巡り」についての最後の記事となります。

2021年5月2日の午後1時半頃、私ラム肉食べ太郎は、日本海を左手に道南の輪郭を沿うようにして、北海道道740号線を移動していました。

車の窓ガラスには波とも雨とも判断の付かない水飛沫がかかり、ワイパーが時々思い出したかのように視界を横切ります。

今回の目的は日本一過酷で危険とも言われる太田山(おおたさん)神社で参拝する事です。

ラム太郎
ラム太郎

私が事前に予習した情報はこれだけでした。

旅をより新鮮なものにするために予習は必要最低限の情報を得るだけに留めていたのですが、実際に訪れてみたら思った以上に過酷で、十分な準備をして行かなかった事を後悔しました。

少なくとも飲み物、しっかりした靴(トレッキングブーツ)、それから軍手(革手袋)の3つは必需品です。

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ラム太郎
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私のオススメ冒険グッズです。

道内最古の定燈篭

道南五大霊場のひとつとされる魅力的な場所ですが、アクセスがあまりも悪い事から、太田山神社を訪れることが出来る数少ない機会を得られたと非常に楽しみにしていました。

しかしGoogle Mapの案内に従って辿り着いた「日本一過酷で危険」とまで言われているはずの太田山神社は、トンネルを抜けてすぐの海沿いの道路際にあったのです。

何か情報を取り違えてしまったのでしょうか。

実はこの場所は太田神社ではなく太田神社でした。

本殿(太田山神社)は更に数百メートルほど北上した山沿いの道路際に、ポツリと入口となる鳥居を構えていました。

目的地ではないものの「太田神社」にも興味深いものがありました。

それは道内最古の定燈篭(じょうろうとう)です。

定燈篭とは、灯台のある時代より昔に同様の役割を果たしたものですが、道内最古の定燈篭は1857年(安政四年)にこの太田神社のある帆越岬に設置されました(現在設置されている定燈篭はレプリカ)。

当時は1.5km先まで届いていたと言われる定燈篭の明かりが、江差への物流を担った弁財船を導いていたのです。

前回の記事でカモメ島にある132年もの歴史をもつ灯台について紹介したばかりでしたが、帆越岬の定燈篭の歴史は更に長く164年にも及ぶのです。

前回記事はこちら「江差町 開陽丸記念館と鴎島<下>

復元された道内最古の定燈篭は、夜になると当時と変わらず近海を照らすのだ。

海風に晒さらされたせいか、それとも字が汚すぎるせいか(ミミズが這ったような字を達筆と言う人もいますが、結局読めなければ意味がないと思うのです)読みにくい川柳がありましたが、こちらは「北海道」命名の松浦武四郎が詠んだ川柳との事です。

「太田山 太きくさりの 一筋に 頼まざらめや 君の恵みを」

この時は意味を理解できませんでしたが、この後に太田山神社の山腹で見事に伏線を回収されました。

意訳すると「太田山神社は太い鎖をよじ登って参拝するんだよ」と松浦武四郎が教えてくれていたのです。

ちなみに松浦武四郎についての関連記事はこちら「道北巡り

右の暗号(川柳)は「雲のうち 三のみのりを 鳴とりの こえかすかなる 山のたかけん」と書いてある。

川柳を通じて太田山神社の気配を色濃く感じ始めましたが、本殿入口(入山口)はどこにあるのでしょうか。

よく目を凝らすと道路沿いに鳥居が見えました。

ラム太郎
ラム太郎

鳥居をくぐった後はこの濁り空の下で、決して標高は高くはないものの、急勾配の険しい山道をひたすら登って行く事になります。

「太田神社」から見た景色。荒れ気味の日本海と中央奥に見える鳥居が今回の目的地「太田山神社」である。

ちなみに太田山神社と反対側方面に目を向けると、今回抜けて来たトンネルと平行して廃道が続いていました。

トンネルの開通と共に廃道になったものと思われますが、海沿いのより険しい道に興味がそそられます。

この廃道の先が崩れ落ちていても驚きはしない(航空写真で見る限りは大丈夫そう)。

いざ、太田山神社(本殿)へ

道路際にポツンと鳥居があり、急勾配の階段が続いています。

太田山神社(本殿)へと向かう入山口です。

入山口は綺麗に手入れされている様子なので一安心

「これは目の錯覚か?」と思わず疑ってしまう程に、せり上がる壁のような階段が続いていました。

万が一途中で足を滑らせてしまったら、地面まで一気に転げ落ちてしまうかもしれません。

入山して30秒で味わった恐怖感でこの先が思いやられました。

とてつもない急勾配の階段が長く続いている。

悲鳴になりそこないの声を漏らしながら、何とか登り切った先から見下ろしてみたところ、あまりの急勾配加減に遥か下にある地面にまで吸い込まれる感覚に陥りました。

ここまでで引き返すと言う選択肢が確かにあった。それだけこの先も険しい道が続いているのだ。

しかしここはまだ太田山神社の玄関口でしかありません。

この先は道とも崖崩れ跡とも見分けの付かぬ溝を、いつ誰が残したのかも分からぬ綱を手繰り寄せながら登り続けて行かなかればならぬのです。

芥川龍之介の「蜘蛛の糸」が思い浮かんで来ました。

私ラム肉食べ太郎はお釈迦様の気分次第で地上まで真っ逆さまに落ちてしまうかもしれないのです。

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もしこれが幾度かの冬を乗り越えたロープならば、身体を預けるのは危険ではないだろうか。

苦しみの先にあるもの

いつぞや誰かが残した梯子やロープ、僅かな階段のようなものが上へと上へと続いています。

進む程に得られるのは、今のところは達成感ではなく、不安と疲労と…位置エネルギーです。

このロープの中に1本くらいはハズレがありそうだ。

残された写真はロープばかりです。

寒い北海道の日本海沿いに生えた、細くて頼りない曲がりくねった木々にこれらのロープが結び付けられています。

ロープが千切れるよりも結び付けた木がポッキリと折れしまうのではないかと、不安が更に増して来ました。

ロープにロープが結び付けられていたりする。ではこのロープが結びついたロープは一体どこに結び付いているのだろうか。

足元には石がゴロゴロ転がっていて非常に歩き辛かったです。

踏ん張りが効かない代わりに蹴り上げられた石が、勢いよく下の登山者に降り注ぐので危険極まりないです。

下の老紳士は怒鳴り声を上げます「石を落としたらラーク!と言いなさい!!!」

登るだけでも呼吸困難になる程に辛いのに、ますます持ち上がらなくなって行く足が意思に反して足元の石を蹴散らしてしまい、何度も何度も叫ばされるのです「ラーク!ラーク!らぁ〜く!!!」

ラム太郎
ラム太郎

こだまでしょうか?いいえ、悲鳴です。

下の老紳士、登り始める頃にはいなかったのに、気付いたらどこからか湧き出て来ていました。

天狗のように健脚なのだから先に行ってくれれば良いのに、死にそうな私を見兼ねてか下からずっと着いて来ました。

だから私は叫び続けるのをやめられませんでした。

「らぁ〜〜〜〜く!!!!!」

時々簡素な階段がある。獣道ではない証である。

こちらは木の根っこで出来た天然の階段である。獣道と変わらない。

登り続ける途中にあった質素な祠です。

これがゴールでも私はガッカリしなかったと思います。

むしろこの祠の位置がまさか山頂までの3分の1程度である事に後で絶望を感じたものです。

急勾配に疲れ、しゃがんで撮影する気力にもならなかった。そんなアングルである。

誰かが綺麗にお手入れをされているようです(一番近い人里、せたな町まで23kmもあるのですが)。

丁寧に祀られたお地蔵様?には赤い頭巾が被せられ、皆も大好きなワンカップ、それから蝋燭と大金(意外と)がお供えされていました。

体力的にチラッと見るのが精一杯のラム肉食べ太郎でした。

永久(とわ)の地獄

それなりに登ってから見える景色は絶景でしょうか?

いいえ、空とも海とも見分けの付かない空間が木々の隙間から広がっていただけでした。

登り始める頃にはパラパラと気にならない程度に降っていた雨ですが、途中からは霧雨に変わっていました。

滝のように湧き出す汗と頭上から降り注ぐ雨にまみれて自然と一体化した気持ちになりました(いっそのこと殺してくれ)。

中途半端に休憩してしまうと、身体から立ち上がる蒸気はたちまち冷たい枷となって一歩も動けない状態にしてしまうかもしれません。

下からは天狗(老紳士)が煽って来る事もあり、ひたすら前に進むしかありませんでした。

雲とも空とも海とも見分けの付かない空間が木々の隙間から覗いている。

落石を起こすのは私だけではありません。

天候が悪くなる程に、大自然の中の僅かなエントロピーからの開放(自然要因による落石)が私の頭上で起こる可能性は高くなります。

よく見ると足元も壁も岩だらけです。

賽の河原で幼き亡者が積み上げた石の山をよじ登っている感覚だ。やがて地獄の鬼が現れてこの山を崩してしまうかもしれない。

岩で出来たようなこの山の主な植生は細い木々と辛うじて張り付いたようなシダ植物類のようです。

映画ジュラシックパークに出て来そうですね。

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スティーヴン・スピルバーグ監督もきっとこの景色には大喜びだ。

最後の試練(遂に本殿へ)

遂に苦しみが報われる瞬間が訪れました。

後ろに天狗(老紳士)が張り付いていた以外、ほとんどひと気がなかった大田山神社への道のりですが、本殿まで間もない山頂付近は渋滞していました。

知っていますか?世界一標高が高い山エベレストでの大きな死因の一つが山頂付近の人による大渋滞である事を。

体力の限界、高山病、天候の急激な変化などを要因に 、山頂付近に長時間留まるのは非常に危険なのです。

標高485mの太田山神社で大袈裟な…と思ってはいけません。

私は特殊な訓練を積んだバットマンではないし、鋼鉄のハイテク兵器に身を包んだアイアンマンでもなく、むしろ人より体力も気力も精神力も劣る生き物なのです。

本殿はすぐ側に。この先に人で渋滞している理由(最後の試練)がある。

最後の試練は現代日本で生きている人の感覚からは、決して踏み出してはいけないと思わせる手作りの橋を渡るところから始まります

橋と呼んで良いのかすら分からない代物です。

拾って来たゴミを繋ぎ合わせたような不安定な網の上を歩いて行かねばならないのです。

往復するためにはそれぞれ譲り合って一人ずつ渡るしかないため、人による渋滞がここで起こっているのです。

このロシアンルーレットに敗れて運悪く落ちる時は橋と共に落ちる事になるでしょう。

ちなみに渡り終えた後に橋が落ちてしまったら帰り道はもうありません。

危機管理の観点からは直ちにこの橋を撤去し、一刻も早く太田山への立ち入りを禁ずるべきです…と言い出す人が出てきそうですし、いずれ死亡事故が起こればそうなってしまうかもしれません。

ですからここはラム肉食べ太郎の「今しか行けない場所100選」に認定します。

この不安定な橋を渡らなければ本殿にはたどり着けないのである。

裸の岩肌に無理矢理橋を掛けているのが写真から伝わると思います。

この橋は足場がグラついていたり、穴が空いていたり、鋭い針金が手すりの部分に飛び出していたりして非常に危険でしたが、最大のアドベンチャースポットでもありました。

これを渡るだけでも、ここまで登ってきた価値はある(死ななければ)。

橋を渡る途中の景色は恐怖感をより引き立てて来ます。

過去に落下による死亡事故があったとしても不思議ではありません。

橋を渡りながら見た右手側の景色。いつ土砂崩れが追加で起こってもおかしくない光景である。

真下を除き込んで見ると、広く深く遠くまで傾斜が続いているため距離感が分からなくなります。

いつか見たグランド・キャニオンの景色のようでした。

もし転げ落ちたら、想像を遥かに超えてどこまでも滑り落ちて行く肉塊となってしまうだろう。

橋を渡り終えた後は、遂に冒頭で紹介した松浦武四郎が詠んだ川柳の場所に出ました。

「太田山 太きくさりの 一筋に 頼まざらめや 君の恵みを」

鎖の足場を用意されたこの崖は北尋坊の崖と名付けられており、高さは7mほどあります。

いつ設置された鎖なのか、錆色をした微妙に形が揃わない鎖が繋ぎ合わさっています。

ここにも一本くらいハズレはありそうです。

見た目以上に登るのが難しい(怖い)。上の人が戻って来てから登る必要がある。

鎖を登りながら見下ろした光景です。

粗大ごみで出来たような橋を除けば、残りは谷底が口を開くばかりです。

この比較的近代的な橋が掛かる以前、松浦武四郎たちの時代はどのようなルートと手段を使って登っていたのかが気になります。

触る人工物が何もかも信用出来ない。錆びた鎖を別としてもロープなども色あせていて手触りはゴワゴワである。

行きて帰りし物語(でありたい)

遂に、遂に本殿にたどり着きました。

鎖で登った先は小さな洞窟になっていて、この中にこれもまた小さな本殿が祀られているのです。

ここにも皆の大好きなワンカップがたくさん供えられています。

しかしここでお酒を飲むのはおすすめしません(生きて帰りたいのであれば)。

ワンカップ好きの神様なのかもしれない。

小さいながらも細部まで丁寧に作られた立派な本殿である事が分かります。

太田山神社そのものの歴史は1440年代にまで遡るほど長く、この本殿に関しても1922年に山火事により焼失した後に再建されたと言う情報を得ており、本当であれば2022年で建設100年目を迎える事になります。

ラム太郎
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歴史的背景を知ると急にご利益があるように感じてくる。

限られた空間と見事に調和している。

ちなみにここに祀られているのは天狗の姿で有名な猿田彦大神(天地を照らす神)だそうです。

手塚治虫の漫画、火の鳥でも主役級の登場人物として出てきます。

おぼろげながらに記憶を辿ると、普通の人間だった猿田彦は「火の鳥」と言う長い漫画シリーズの中で、悟りを開いて行くと共に鼻が腫れ、天狗のような外観になって行きます…まさしく猿田彦大神がモデルだったのですね。

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厳しい道程でしたが、こうして記憶を辿りつつ記事としてまとめて行くと、印象深い思い出が色々と出て来て「登ってきた甲斐があったな」とそう思いました。

標高僅か485mとは言え、これだけの急勾配を登って来ると視界を遮るものはなく、遥か海の彼方まで見渡す事が出来る。

帰り道は滑り台に身を任せるが如く、重力に導かれて行ったので記憶に薄いのですが、太田山神社で最も強く印象に残った景色は実は帰り道にありました。

それは…復路の橋です。

意外と急勾配で、簡単に外の崖下へと身を投げ出せてしまいそうで恐ろしかったです。

往路の橋に向けた視線…よくこんな場所を通って来たなと思った。

太田山神社を訪れた今回の度は、とてもスリリングで素晴らしい経験になりました。

もしこの記事を読んで下さった方で、訪れる機会があるようでしたら日程と装備は慎重に選んで下さい。

そうそう、今思えば私を最後まで「後ろから引っ張り上げてくれた」不思議な天狗のような老紳士はもしかしたら太田山神社に祀られた猿田彦大神の化身だったのかも…なんて思ったりもします。

ラム太郎
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