ウポポイの開業日に行って丸一日過ごしてみた

冒険

2020年4月24日に開業予定のウポポイは、コロナ禍の影響で延期に延期を重ねていましたが、2020年7月12日に遂に開業しました。この瞬間を待ち望んでいた私ラム肉食べ太郎は、この日の開園(9時)から閉園(20時)まで、丸一日たっぷりとウポポイ(民族共生象徴空間)に浸って参りましたので、レポートを皆さんにお送りしたいと思います。

ウポポイ(民族共生象徴空間)とは

ウポポイは、簡単に書くと、国立アイヌ民族博物館を中心とした、アイヌ文化の復興と発展のための施設であり、五感を使ってアイヌ文化を体験し学ぶことができます。(公式サイト

 私ラム肉食べ太郎の主観によると、ウポポイとはまさに「民族共生象徴空間」のことであると感じました。

 まず背景として、151年に渡る北海道開拓の歴史は、この地の先住民族であるアイヌ民族との同化政策との歴史でもあります。アイヌ民族は、北海道を中心に、樺太から青森までの範囲で生活を営む、独自の言語や文化を持つ狩猟採集民族でした。独立した民族として和人(本州)との交易もありました。

 しかし、北海道の開拓と共に、同じ「日本人」として生きて行くことを強要され、「アイヌ民族として生きること」を奪われたのです。現在の日本では、法治国家の枠組みの下で、大局的にはアイヌ文化も、その言語も失われました。今では誰もが同じ「日本人」であり、アイヌの血筋も多くの人から見たら単なる「ルーツ」であるとしか感じないかも知れません。

 とは言え、アイヌの血筋を持つ者の祖父母や曾祖父母は、まさに「アイヌ民族」として生きて来た人々でした。そしてその子供達や孫、ひ孫の中には、アイヌの文化や技能を直接聞き学んで来た人もいます。彼ら彼女らにとって、アイヌの血筋はただの「ルーツ」ではなく、自分自身のアイデンティティとなるのではないでしょうか。

 我々は、同じ日本人であるからこそ、アイヌ文化が存在していたと言う歴史を学び、今も脈々と受け継がれて来ていると言うことを尊重する必要があると考えます。私自身はアイヌ文化をほどんど知りませんでしたが、今回の体験を経て、アイヌ民族の生き方や考え方に敬意の念を抱きました。

ウポポイと言う施設は、アイヌ文化をほとんど、あるいは全く知らない人達にとっても、「日本人」と言う概念を飛び越えて、日本とは「様々な民族の集合体国家」であり、「様々な意思を持つ個人の集まり」であり、そして互いに混ざり合い、助け合い、補い合って、今が築かれ、未来も築かれて行くのであると言うことを、そしてそれらは全て尊重されるべきものであると言うことを認識するきっかけとなる場であると感じました。

 

ラム太郎
ラム太郎

だからこそ、ウポポイとはまさに「民族共生象徴空間」のことであると私は感じたのです。

 

アイヌの世界へ

ウポポイの入場口に並んだのは開園の50分前でしたが、既に列が出来ていました。コロナ感染予防対策として、ソーシャルディスタンスを保ちながら一列になって列が進むのを待ちました。

外にいる時間が長いので、暑すぎない曇り空が丁度よかった。

コロナの感染予防対策として、入場出来る人数に制限がありますので、当面の間は事前にウポポイ1日券(大人1,200円)もしくは、ウポポイ入場日予約券(無料:現地支払い)を確保しておく必要があります。入場チケットの購入サイト:(公式サイト

また、それとは別に、国立アイヌ民族博物館の展示観覧の時間を予約しておく必要があります。これを忘れると、メインディッシュのないフレンチを食するような気分になってしまうでしょう。国立アイヌ民族博物館 入館整理券 発行サイト公式サイト

上記の「入場チケットの購入サイト」と、「国立アイヌ民族博物館 入館整理券 発行サイト」は異なり、互いにリンク付けされていないので、非常に分かり辛いです。注意して下さい。

「いざないの回廊」を通り、入退場ゲートへと向かう。ほのかに流れるアイヌ音楽が気分を盛り上げてくれる。

こちらが入場チケット。開業日に訪れた証拠でもある。

赤外線サーモグラフィで37.5度以上の熱がないことを確認し、手指の消毒を済ませたら、いよいよ入退場ゲートのあるエントランス棟に向かいます。

「エントランス棟」正面。中心に見える建物が「国立アイヌ民族博物館」である。

「エントランス棟」左側。奥にチケット売り場と入退場ゲートがある。

「エントランス棟」右側。

本来は入退場ゲートでチケットを購入することが出来る。

スタッフはフェイスマスクにゴム手袋を装着していますし、来場客もマスクを装着しなければ入場することが出来ません。また、ソーシャルディスタンスを保つために、各施設で入場人数が制限されており、事前に整理券を受け取る必要があります。

ラム太郎
ラム太郎

最後まで人混みのない快適な空間で、安心して過ごすことが出来ました。

ショップ

エントランス棟に向かう途中には、道産食材を使用したスイーツなどを扱うテイクアウトショップ「sweets cafe ななかまど」や、アイヌ料理などを提供するカフェ「リムセ」があります。

「sweets cafe ななかまど」はテイクアウトのみ。お土産品も置いてある。9:00〜閉園時間まで。

「リムセ」は店内で食べる他、テイクアウトも可能である。お土産品も置いてある。9:00〜閉園時間まで。

エントランス棟には、お土産屋さん「ニエプイ」や、フードコート「HINNA HINNA KITCEN 炎」、レストラン「焚火ダイニング・カフェ ハルランナ」があります。ここまでは入園しなくても訪れることが出来ますので、軽く立ち寄る程度に利用しても良いかも知れません。

下記は、「焚火ダイニング・カフェ ハルランナ」についてです。コース料理から単品料理、スイーツにカフェメニューまであります。どれもアイヌ文化を源流とする食材に現代の調理技術を取り入れた、創作料理です。心地よくてお洒落な店内と、意外性のある美味しいスイーツ、そして丁寧で暖かい接客に私はすっかりファンになりました。是非今度行った時は、食事も堪能したいと思います。

落ち着きのある店内の様子。

テラス席もある。夜に浮かびあがる店内の雰囲気は非常にお洒落で特別感があった。

ロールケーキのクリームに含まれた酸っぱさに意外性を感じた。人生を通して、夢中になって食べた唯一のロールケーキがこれである。

木苺のラテ(正確には違う名前かも)である。味だけでなく見た目にも妥協なしである。

国立アイヌ民族博物館の1階には、アイヌ民族の工芸品などが置いてある「国立アイヌ民族博物館 ミュージアムショップ」があります。座ってコーヒーを飲むことも出来ます。

「国立アイヌ民族博物館 ミュージアムショップ」は見ているだけでも楽しい。民芸品のクオリティの高さと値段の高さには驚かされる。

また、土日祝には、ケータリングカー(屋台)が複数出店することもあります。今回は「ラーメン屋さん」に「パイ鯛焼き屋さん」など、4店舗ほど出店していました。

野外にも屋根付きの椅子とテーブル、そしてゴミ箱が設置されているエリアが複数ありますので、天気さえ良ければ、食べ歩きを含めて1日を快適に過ごすことが出来ます。

奥に見える建物は「体験学習館」。そして、ケータリングカー(屋台)が3店舗写っている。

 

野外2カ所に設置された休憩スペース。

ラム太郎
ラム太郎

もはや博物館の中を見たり、アイヌ文化体験をしなくても楽しく過ごせてしまいます。

開業記念プログラム スペシャルトークショー

開業日であるこの日にしか体験することが出来ないプログラムですので、真っ先に整理券を確保しに行きました。132名限定です。

実は内容を確認しておらず、エンジニアや町長などがこの施設の裏舞台を語ってくれる場だと、始まるその瞬間まで、本気でそう思っていました。

しかし実際は、ウポポイPRアンバサダーである、俳優の宇梶剛士さんに、AKB48の北海道代表である坂口渚沙さん。そして、ウポポイオフィシャルサポーターである、TEAM NACSリーダーの森崎博之さんと戸次重幸さんによる豪華なトークショーでした。

入退場ゲートで、この4名の方が、入園者を迎え入れて下さってたのですが、坂口さんを見た私は、やたらスカートの短い制服を着た地元の高校生がスタッフに混ざって、ボランティアでもしているんだと思っていましたし、整理券配布の列でも黄色い歓声と共に手を振る人々を見て、有名なアナウンサーがウポポイの報道でもしているのだと思っていました。

振り返ってみると「なるほどね」と思いました。ぶっちゃけ誰一人として認識はありませんでしたが、学術的な面持ちで参加した私は、こともあろうに真正面の席を確保していました。「何か思っていたのと違う」とはなったものの、始まってみれば、すっかりミーハーになっていました。

 

ラム肉
ラム肉

宇梶さんめっちゃ渋い!カッコ良い!憧れる!

坂口さん顔小さい!スタイル綺麗!可愛い!

 

森崎さんと戸次さんは、とても面白かったので、お笑いコンビだと思っていました。実はアーティストと言うことで、早速何曲か聞いてみて、すっかり気に入りました。

トークショーの内容については、アイヌ民族の衣装を纏って登場した宇梶さんは、アイヌの血筋であり、ウポポイについては深い思い入れがあるとのことでした。坂口さんは、そんな宇梶さんからアイヌのことを色々教わったそうです。また、ウポポイの伝統楽器であるムックルを口の中から血が出る程練習したりもしたそうです。

森崎さんと戸次さんは、アイヌを舞台とした漫画「ゴールデンカムイ」の大ファンだそうで、漫画の知識ながらもアイヌ文化について詳しく、これからの意気込みを熱く語っていました。

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最後に、アイヌ語についてのクイズが何問かあり、楽しい40分間はあっという間に過ぎてしまいました。

ラム太郎
ラム太郎

動物の「ラッコ」や「トナカイ」はアイヌ語由来だそうです。

「体験交流ホール」にて。右から宇梶さん、坂口さん、森崎さん、戸次さんでした。

プログラム

敷地内には「体験学習館」「体験交流ホール」「国立アイヌ民族博物館」「チニサキ広場 屋外ステージ」「伝統的コタン 屋外ステージ」「工房」「伝統的コタン」と様々な体験施設があり、その中でも数多くのプログラムがあります。

また、園内フィールドで「樹木案内」を受けられるプログラムもあります。

これらの多くのプログラムは、整理券を事前確保することで受けることが出来ますが、効率良く回っても1日で半分も体験出来ないボリュームだと感じました。事前に何を体験したいか、ある程度計画しておくと良いかも知れません。

ドーム型スクリーン映像体験「カムイ アイズ」

カムイとは、動物や道具など様々なものに姿を変えて存在するとされています。だからアイヌの人々は万物に感謝し大切にします。私は「八百万の神々のような存在」と解釈しています。

体験学習館」では、そんなカムイである動物「オオワシ」「キタキツネ」の視点から、180度のパノラマ映像で冬の北海道を駆け巡る体験が出来ます。

また、「体験学習館」には、「楽器演奏鑑賞」や「ポン劇場」(小さな紙人形劇)のプログラムもあります。

「体験学習館」の外観。

「体験学習館」の内部。

「ドーム型スクリーン映像体験 カムイ アイズ」

1人でひとスクリーン占有することが出来るので、じっくりカムイの世界観に浸ることが出来る。

ホール内短編映像上映「カムイ ユカラ」

体験交流ホール」にて、アイヌに伝わる2作品の物語のどちらかを、短編映像で観ることが出来ます。複数のスクリーンに加えて、床にまで映像を映し出す演出で、ダイナミックな体験をすることが出来ます。

「カムイを射止めた男の子」「キツネにつかまった日の神」の2作品のうち、私は前者の作品を観ることが出来ました。

アイヌの世界観を簡潔に知ることが出来ますので、「国立アイヌ民族博物館」に入る前に体験しておくと良いかも知れません。

また、「体験交流ホール」には、「伝統芸能上演」や「カムイ シンフォニア」(屋外プロジェクションマッピングショー:土日祝かつ夏季の夜間限定)のプログラムもあります。

「体験交流ホール」の外観。

座席はソーシャルディスタンスを保つために間隔を空けている。

奥の窓からは「ポロト湖」が見えるが、上映時はスクリーンに覆われる。

その他施設とプログラム

ウポポイの施設は、ポロト湖を取り囲むように点在しています。良く手入れされた芝と美しい湖、そして木々に囲まれた景色をベンチに座ってのんびりと眺めるのも至福のひと時です。今回は曇り空でしたが、良く晴れた日のポロト湖の景色は格別だと思います。

ポロト湖は美しい湖である。

屋外ステージはチニサキ広場と伝統的コタンの2箇所にあります。

チニサキ広場の屋外ステージでは、「アイヌのうた・おどり」を鑑賞することが出来ます。私が現在持っているプログラムでは、土日祝の9:20分の回の15分間のみしかありませんので、最初に行くべき場所かも知れません。

伝統的コタンの屋外ステージでは、アイヌのくらしと文化解説をしてくれる「コタンの語り」、PRキャラクターの解説をしてくれる「トゥレッポんってなあに?」を鑑賞することが出来ます。

「屋外ステージ」伝統的コタン側。

工房では、「伝統工芸実演見学」が出来ます。内容は男の手仕事であった「木彫」、女の手仕事であった「織り・刺繍・編み物」です。定員は9〜16名と少人数のプログラムですが、約10 分間で開催回数も多いので、是非参加してみて下さい。最終プログラムは17:00開催となります。

「工房」の外観。

「管理運営施設」の外観。

伝統的コタンでは、「仕掛け弓 実演・解説」「丸木舟操船 実演・解説」「チセ内部見学」「チセづくり公開」の4つのプログラムがあり、特に人集りが出来ていたエリアでした。より、アイヌ文化に直接的に浸れる良い空間であると感じました。」

「丸木舟操船 実演・解説」に実際に使用しているもの。奥は「チセづくり公開」である。

チセはアイヌ語で「家屋」を意味します。伝統的な技法を用いられて建築されたチセは、 立派で快適そうな造りをしていました。

手前を除き、奥から「ポン チセ」「ポロ チセ」「シノッチセ」である。

「ポロ チセ」(大きな家)の天井。

 

「ポロ チセ」(大きな家)の内部。

ラム太郎
ラム太郎

最終プログラムが16時台と、終わるのが早いため、早めに行くことをお勧めします。

国立アイヌ民族博物館

メインの「国立アイヌ民族博物館」についてです。1階は「ミュージアムショップ」や「シアター」から成り立っています。「シアター」では、「アイヌの歴史と文化」「世界が注目したアイヌの技」の2作品のうちどちらかが上映されます。どちらも23分間の上映となります。

2階は「基本展示室」と「特別展示室」から成り立つ博物館です。ネットで事前に「入館整理券」を発行しておかないと入ることが出来ません。閉園の時間まで開いていますので、早い時間は屋外で様々なプログラムを体験し、遅い時間になってから入ると良いかも知れません。

「国立アイヌ民族博物館」の外観。

「国立アイヌ民族博物館」の入口。物凄くお洒落である。

整理券を見せたら、ますはエスカレーターで2階に上がります。「パノラマックロビー」があり、ウポポイの施設全体と、ポロト湖を眺めることが出来ます。

順路を進むと、まず「基本展示室」があり、続いて「特別展示室」があります。「基本展示室」では「言葉」「仕事」「交流」「世界」「暮らし」「歴史」などとテーマ毎に分かれて展示してあります。

私は18:00からの入場でしたので、なるべく素早く見て、更に途中は飛ばし見して回りましたが、それでも20:00の閉園ギリギリでした。一見展示物は少ないと思ったのですが、十分なボリュームと見応えがありました。

パノラマックロビー(18:00)の景色。

雰囲気は上野の「国立科学博物館」っぽい。

展示物とパネルに加えて映像で学ぶことが出来る。

小熊を人間の子供のように育てたらしい。

アイヌの血筋である宇梶 剛士さんについてのパネルもあった。

厚岸湖で出土した板綴船。

「特別展示室」の一部は撮影禁止である。

最後に

正直、ウポポイに行くまで「つまらなそう」と思っていました。しかし流石は国立博物館。脱帽です。とてもとても1日では味わい尽くせないボリュームと、何度でも行きたくなる魅力が満載でした。

ほとんど知らなかったアイヌ文化でしたが、この日を通じて多くのことを学びました。そして、私自身の意識も冒頭で述べたように変化がありました。

また、美しい湖畔と、斬新な建造物、お洒落な飲食店の数々からも、特別な空間で過ごす喜びを味わいました。

別の記事で紹介させて頂きますが、ウポポイの開業に合わせて白老町内に様々な施設がオープンしました。また、JR 白老駅も多くの来場者を受け入れるためにリニューアルしました。新たな北海道の窓口として、アイヌ文化の時代から令和、そして未来に向けて明るい未来を切り開いてくれるのだと信じています。

記事はこちらです。「ウポポイだけじゃない白老町の魅力

ラム太郎
ラム太郎

是非そんな白老町へ、ウポポイへ、皆さんも訪れてみて下さい。

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