江差町 開陽丸記念館と鴎島<中>

冒険

前回記事はこちら(江差町 開陽丸記念館と鴎島<下>

2021年5月2日、開陽丸記念館を後にした私ラム肉食べ太郎は、その目の前に拡がっていたクジラの尻尾のような形をしている半島「鴎島」(カモメ島)に向かいました。

実は当初の目的はこの鷗島だったのですが、予期していなかった魅力的な寄り道スポット「開陽丸記念館」にすっかり時間を使ってしまっていたのです。

開陽丸記念館の甲板から見えていた「鴎島」の一部

鴎島に向かう途中の島と陸を繋ぐ道から見ると、開陽丸が逆光の中でまるで切り絵のように黒いシルエットを浮かべていました。

まるで難破した亡霊船のように見える

鴎島全体の様子は下記のMAPを見て下さい。

ラム肉食べ太郎が歩んだルートは島全体の右半分です。

時間が足りなくて全周できなかった事が悔やまれます。

エビス浜→瓶子岩→かもめの散歩道→北前船の係船跡→テカエシ台場跡→鴎島灯台→井戸

「かもめ島お散歩 MAP」

全てが大冒険と雄大な景色で構成された素晴らしい場所でした。

私ラム肉食べ太郎が歩んだルートの順番で紹介して行きます。

エビス浜

さて、「鴎島大冒険」の始まりです。

写真は島の入口、まだ「エビス浜」ではありません。

写真では見切れている左の方向へ進みます。

MAPで言うところの「現在地」である。左奥の建物にはトイレがある。

そこには突然、非日常が現れました。

続く道なき道の先には小さな階段が見え、そのまた先へと続いているであろう旅路の果てに見える終わりなき世界に期待が高まるのを感じます。

ここが道である事は、杭と階段の存在に気付けた人だけに分かるのである。

遠くに見えていた階段の先はトンネルへと続いていました。

始まったばかりのこの冒険物語は、ワクワクをありったけ詰め込んだおもちゃ箱のようで、興味を失い引き返すと言う選択肢など与えては来ないのです。

トンネルを縁取るゴツゴツした岩すらもが愛おしい。

この切り取られた空間に創造の神は何を与えたのでしょうか。

数段崩れ落ちて失われてしまったかのような、レンガ状のコンクリートに縁取られた階段の橋と、その下を薄く流れる透明な海の底には艶やかな2色の藻が透けて見えるのです。

そして流れ出て固まったマグマのような形状の岩と、そこを抜けるトンネルが見事に調和し、芸術家達が感性を寄せ合い、物語に登場する冒険の世界をむしろ人工的に造り出したかのような「完璧な空間」がここにあるのです。

コンクリート製の階段橋の縁は削れ、むき出しの鉄骨が見えている。

トンネルは短く、すぐその先に新世界が広がっている事を感じ取りました。

わざわざトンネルを通る事を選んだ風達が、悪戯っぽく私の頬を撫で、まだ見ぬ世界の空気を鼻先へと運んで来てくれたのです。

短いトンネルの先に青い空が顔を覗かせている。

ここで私は初めて後ろを振り返りました。

こちら側から覗く元の世界もまた、切り取られた摩訶不思議な世界である事に気付いたのです。

そこにはまるで時代を遡り、今にも出港しようといているかのような帆船「開陽丸」の姿がありました。

時空の歪みが発生しているとさえ思わせるこの特異な環境では、私の心もまた時代を越えて少年へと遡り、想像力を目一杯に働かせては、素晴らしき冒険の世界へと無邪気に浸る存在になれるのです。

このトンネルという名の額縁に縁取られた空間は、意図的に演出された芸術作品のようである。

トンネルを抜けた先には、無名ながらも長い熟成期間を経て、遥かな高みへと昇格した年代物のフランスワインを口にした、一流のワイン評論家の唇から思わず紡ぎだされた感嘆の詩の世界のような光景が広がっていました。

閉じた瞼の裏側では、この写真の世界のように幾重にも折り重なった青の複雑な多重奏が奏でられていたりするのでしょうか。

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私はこの日、青の複雑な深さを知る者となった。

トンネルを構成していた岩と同様の柔らかい島の岩壁には、おそらく人工的に掘られたと思われる秘密基地がありました。

乾いた砂地の床と、奥行きのある適度な広さのこの秘密基地は、少年の冒険心をくすぐるものの一つに間違いないでしょう。

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秘密基地の内側から見た景色。

海岸沿いに歩いて行くと、更にその先へと続く道が現れる瞬間があるのかもしれない…そう思わされる場所に出ました。

実際には例えば強い引き潮が来たとしても道は現れないと思いますが、頭の中では分かっているつもりでも、心の中では密かに期待し、満月の夜に呪文でも唱えてみようかと妄想が捗ります。

しかし試しに一歩踏み込んでみると、濡れた細かくて柔らかい砂地に靴が沈み始めたので、慌てて戻りました。

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ここで私は、幼少期に強く惹かれた映画のワンシーンを思い出した。映画ロード・オブ・ザ・リングの中で、ガンダルフは月明かりに浮かび上がった魔法の扉の前で「メルロン」と唱えた。するとドゥリンの扉は外に向かって開き、友人である旅の仲間達を迎え入れるのであった…

島の内側に目を向けると岩壁が反り立っていて、木が根を張るには十分ではない硬い岩の上の薄い土壌には毛皮のような草が張り付いていました。

この高台から見渡す景色はきっと素晴らしいのではないでしょうか。

今だからこそワクワクしているが、私が文明の発達していなかった時代にこの場所へ流れ着いた遭難者であったのならば、この資源の少なさを想像させる光景は絶望として目に写ったかもしれない。

驚くことに、この岩壁の隙間を縫うように急傾斜の道がありました。

誰が用意したものなのか、いつのものなのかも分からない命綱が垂れ下がっていました。

芥川龍之介の「蜘蛛の糸」が脳裏に浮かび上がって来ましたが、私は当然目の前の機会にぶら下がる事にしました。

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次から次へと驚かされる。この島全体がアドベンチャーに満ちているのだ。

高台からの素晴らしい景色を見て、この場所にロープを残した人の思いが伝わって来た気がしました。

開拓した先にあったこの絶景は独り占めにしてしまってもおかしくはない素晴らしいものでしたが、この広い広い海と空を前に、そんなさもしい感情はどこかに吹き飛び、後に続く冒険家達のために、この場所への道標を残しておいてくれたのではないでしょうか。

この島の物語はまだ始まったばかりである。

冒頭部分に「かもめ島お散歩 MAP」を載せましたが、そのわずか一角の「エビス浜」だけで、これだけの物語が詰まっていました。

そして記事としても、こんなに長くなるとは思っていませんでした。

エビス浜→瓶子岩→かもめの散歩道→北前船の係船跡→テカエシ台場跡→鴎島灯台→井戸

鴎島を巡る大冒険の続きはまた次回…「江差町 開陽丸記念館と鴎島<下>」へと続きます。

ラム太郎
ラム太郎

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